2022.11.24

「スタッカート」とは「短く切る」が正解なのか

小雪

虹蔵不見

しょうせつ
にじかくれてみえず

 

雲が厚く重く そのうち雪が混じる日も近い事でしょう

年の瀬もすぐそこ なんだかそわそわしてきました

ごきげんよう 阿部です

 

 

 

 

 

今週は前回のつづき

「スタッカート」とは「短く切る」が正解なのか?

 

スタッカートといえば学校では

「音を短く切る」と教わった記憶があります

 

つまり四分音符で

というように書いてあったら

 

というように実際には小さい休符を入れて

短かく演奏するように指導されます

ただ 実際にピアノや弦楽器でスタッカートを演奏すると たまに先生から

「スタッカートは短く切るんじゃないんだ」謎の指導を受けることがありませんか?

 

スタッカートを短く弾くにしても

あるいは跳ねるように弾くにしても

演奏が雑になりやすいのですよね

 

 

今日はそんなスタッカートというなかなか奥が深い奏法について

シリーズで考察していきます

 

①そもそものスタッカートの意味

②楽器・時代や作曲者ごとのスタッカート

③空気を読んでスタッカートを解釈する

 

 

今回は①そもそものスタッカートの意味 です

スタッカートとはイタリア語が語源ですが

「セパレートする」「離す」という意味から来ています

 

つまり前後の音を切り離して ということになります

決して音の短さにこだわっているわけでは無いのですが

音を切り離すというのはなかなか難しい日本語の為

「短く切る」という表現になったんではないかと思われます

 

この「短く」ということにこだわろうとすると

例えば管楽器にしても弦楽器にしても

音の余韻を残すことなく つぶれた音で「っぺっ!」という音になることがあります

 

「余韻を残して弾いてほしい」 というと「え スタッカートなのに?音切らなくていいの?」

みたいな感じになる人もいます

 

音をセパレートするための方法として

「跳ねるように」「際立たせて」「躍動的に」「はじくように」「はぎれよく」

といろいろなアプローチの仕方がある中の一つとして

「短く切る」というイメージがある というだけなんではないか

最近ではそう思っています

 

 

また 『スタッカートは「跳ねる」でも無いんだ!』という意見もありますが

私はけっこう跳ねるという表現はピアノにおいては けっこう有効なんじゃないかと思っています

 

ただ大切なのは跳ねた後の軌道と着地で

鍵盤を雑に叩きつけるのではなく

鍵盤の上に指が着地し ジャンプと同時に指は軽やかに上にあがる

 

その上がるときの軌道の速さでスタッカートの鋭さや柔らかさが表現されるんです

そう スタッカートにも鋭いものと柔らかいものがあります

 

特に鋭い硬いスタッカートで言えば

この鍵盤から素早く離す所作が 音のセパレートに繋がる動作で

もう一つの例えをするなら「熱いヤカン触った時」なんかいいんじゃないでしょうか

 

ヤカンに触れるときはソフトに

だけど反射神経で パッと手を放しますよね

あの時ってすごいエネルギーが働いていると思うんですよ

 

あれくらい俊敏に手が動けば 効果的なスタッカートが表現できるんじゃないでしょうか?

 

今日はピアノをメインでスタッカートを考えてみましたが

次回は弦楽器のスタッカートの奏法

いろんな時代のスタッカートを考察していきます

 

では 次回

②楽器・時代や作曲者ごとのスタッカート

をお送りします

 

 

ごきげんよう